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27.塔の位置取りから、全体のコンセプトが見えてきた [武蔵国分寺の不思議を探る(テキスト版)]

Ⅵ.今も生きている都市計画

27.塔の位置取りから、全体のコンセプトが見えてきた
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これまで見てきたことから、武蔵国分寺の七重の塔は、それが建てられた場所に意味があるということがわかった。まず周囲の地形的条件から塔の場所が選定され、その塔の場所を基準点として塔からの方位線上に寺院の区割りと配置が決定されている。塔の位置取りにどのような要件が備えられているかを見ることで、全体のコンセプトが浮かび上がってくる。

「好処」が全て取り込まれている
塔の位置取りに備わっている要件で最も中核的なものは以下の3つに絞れるだろう。
①3湧水を均等に背負える場所に塔が建っている。
②塔から見た冬至の日没の方位線・夏至の日没の方位線が東山道と交わるところを寺院地の北西角・南西角とし、北西角が崖線の崖上まで取り込めるように塔が配置されている。
③崖下の湿地帯を避けて主要施設を置けるよう、基準点となる塔を湧水から300m南に離してある。

崖線・湧水・東山道は動かすことができないが、任意に動かせる塔の場所を動かすことによって、寺院地の中に取り込みたいものを取り込めるように塔位置を決定、塔を基準点として全ての配置が決定されている。

尼寺を含む寺域全体を見渡すと、西の黒鐘の谷戸から東のリオン下湧水まで扇状に取り巻く崖線の連なりが横長に取り込まれ、塔と黒鐘の谷戸の間の広い空間に主要施設が配置されている。寺域に取り込まれた湧水を守るため、涵養域として重要な崖上まで確保されている。また僧寺は崖下の湿地帯を避けて主要施設が配置できるように南北の距離がたっぷりととられている。(尼寺はそうではなく、選地に無理が見えるが)

この結果、武蔵国分寺の敷地は東西に900m以上、南北に600mという広大なものとなり、諸国国分寺のどこにも似ていない国分寺となった。寺域の中には、この地の優れた自然景観「好処」がすべて取り込まれており、それを背景として建造物が絶妙に配置されている。「必ず好処を選べ」という聖武天皇のコンセプトが見事に実現されたというわけだ。

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